
「契約書を交わしていないと、どんなトラブルがあるの?」
「チェックしておきたいポイントを知りたい」
「契約書ってむずかしそうでよくわからない…」
いざWebサイト制作を依頼する際、契約書と聞くとこのように感じる方も多いのではないでしょうか。
Webサイト制作において契約書は、制作会社とのルールを定め、トラブルを防ぐために重要なものです。
この記事では
- サイト制作依頼時に契約書をチェックしないと起こりうるトラブル
- チェックしておきたいポイント
をご紹介します。
記事を読めば、契約書で確認すべき項目がわかり、安心してWebサイト制作を外注できるようになるはず。
ぜひ最後までご覧ください!
サイト制作依頼時に契約書をチェックしないと起こりうるトラブル5選
契約書は互いの認識をすり合わせてルールとして定める、重要な書類です。
内容をしっかりチェックしていないと、以下のようなトラブルが起こる可能性があります。
- 想定外の追加費用が発生する
- 制作会社が制作を進めてくれない
- まだ修正しほしいところがあるのに対応してもらえない
- 公開後に見つけた不具合を修正してもらえない
- Webサイトのデザインを他の資料に使えない小一時間
それぞれ具体例を挙げてご紹介します。
1.想定外の追加費用が発生する
想定外の追加費用が発生してしまうことが、もっともよくあるトラブルです。
「○○は費用内でやってくれると思っていたら、実は追加費用が必要だった!」というケース。具体的には…
- デザインの修正を依頼したら、追加費用を請求された
- サイトを本番サーバーにアップするのは別料金が必要だといわれた
写真も用意してもらえると思っていたのに、別の会社のサービスを紹介されたなどなど。
どれもお互いの認識をすり合わせていないことから発生するトラブルです。
制作に慣れていない発注者としては予想しにくいものばかり。
契約書において作業内容・追加費用がかかる場合の条件についての記載をチェックし、不明な点は制作会社に質問してみましょう。
2.制作会社が制作を進めてくれない
契約書のチェックがあまいと、制作会社が制作を進めてくれないこともあります。
「◯月◯日までに公開したい」と口頭で希望を伝えたはずなのに、制作会社が作業を進めてくれず、このままでは間に合わない!といったトラブルです。
契約書で納期を明記していない場合、言った言わないの争いになってしまうこともあるかもしれません。
このようなトラブルを防ぐためには
- 納品の具体的な期日
- 制作者側の都合で遅れが発生したときの対応方法
について、契約書に明記されているかチェックすることが大切です。
3.まだ修正しほしいところがあるのに対応してもらえない
修正のルールについてチェックしていないと、気がついたときには修正対応をしてもらえないトラブルもあります。
Webサイトができあがり、チェックをしていたら修正してほしいところが見つかったので1週間後に制作会社に連絡。
しかし「修正期限がすぎているので修正はできません。」と断られてしまった!
修正に関する取り決めを確認しておかないと、このようなトラブルになる可能性があります。
中には契約書で「修正期日は1日以内」といった現実的ではない期日が設定されていたり、「修正は一切受け付けません」と記載されていたりするケースも。修正ルールについてしっかりチェックしましょう。
4.公開後に見つけた不具合を修正してもらえない
公開後の不具合に対する対応ついてチェックしていなかっために、修正を依頼しても対応してもらえないトラブルです。
Webサイトを公開して半年後、制作会社の設定ミスによる不具合を発見したので修正を依頼したところ「それは対応できません」「追加費用が必要です」と断られてしまった!なんてケースも。
制作会社によって公開後のサポートは異なり、
- 不具合が発生しても公開後1ヵ月以内しか対応していない
- 一切対応しない
といった場合もあるため注意が必要です。
公開後の不具合に対する条件や、期日についての記載のチェックを、忘れずに行いましょう。
5.Webサイトのデザインを他の資料に使えない
Webサイトのデザインに関する著作権について、トラブルになることも多くあります。
Webサイトのデザインを自社のチラシや資料に流用したところ、「著作権違反だ」と制作会社から使用中止と賠償金を要求されてしまった!なんてトラブルの可能性もあります。
実際に著作権違反にあたるかどうかに関わらず、
- 訴えられてしまうことによるイメージダウン
- 対応にかかる時間と手間を取られる
などのデメリットも。
このようなトラブルを防ぐために、契約書で著作権についてきちんと互いの希望を確認しておきましょう。
Web制作の契約書でチェックしたい9つのポイント
「契約書をチェックしないとトラブルになる」と言われても、どこをどう確認すればいいのかわからない方もいるのではないでしょうか。
ここではとくにチェックしておきたい以下の9つのポイントをご説明します。
- 業務内容
- 対応ブラウザ
- 再委託
- 納入・検査
- 納品後の不具合
- 著作権
- 支払い時期
- 損害賠償責任
- 支払いが遅れたときの損害金
それぞれ簡単な例を挙げてご紹介していきます。
1.業務内容
なにを使ってどのようにWebサイトを作っていくか、業務内容を決めておくことが大切です。
「やってくれると思っていた機能が入っていない」「追加費用が必要だとは聞いていない」といったトラブルを防げます。
とくにチェックしておきたい内容は以下となります。
- 修正対応の回数や内容に関する条件
- サーバーやドメインの契約者
- サイト内の機能
- 画像やテキストの準備方法
- 費用内の作業内容
- 追加費用発生の条件
このような内容は、契約書には仕様書を別紙で作って定義されている場合もあります。
2.対応ブラウザについて
対応ブラウザとは、制作するWebサイトが適切に表示されることを約束するブラウザのことです。
代表的なブラウザだけでもChrome・Edge・Safariといった様々な種類があり、スマートフォンのAndroidやiPhoneによってもブラウザの仕様が異なります。
ブラウザによってWebサイトの表示に差異があり、特定のブラウザで見たときのみレイアウトが崩れてしまったり、表示がおかしくなったりする可能性もあるのです。
すべてのブラウザで適切に表示できるように制作するのは非常にむずかしく、ブラウザによっては対応するために大幅に工数が増えてしまいます。
多くの制作会社ではあらかじめ「このブラウザに対応しますよ」とルールを決めて提供しています。
「ターゲット層がよく使っているブラウザできちんと表示されていないのに、対応してくれない」といったトラブルを防ぐためにも、どのブラウザで適切に表示されることをゴールとするのかについて、といった条件をチェックしておきましょう。
3.再委託について
再委託とは、契約相手である制作会社が作業内容の一部またはすべてを第三者に委託することです。
例えばあなたがA社と契約した場合に、実際にA社が担当するのはデザインだけで、システム構築とコーディングはA社が依頼したB社が行う、というケースです。
Web制作において、専門性の高い会社に専門分野を再委託するのはよくある手段。
しかし無条件で再委託を許可してしまうと、トラブルになる可能性があります。
- A社のデザインが好きで発注したのに、A社からC社に再委託され、C社のデザインで作られてしまってほしいものにならなかった
- 機密情報を勝手に再委託先のD社にも共有されていた
このようなトラブルを防ぐためにも、再委託に関する以下の様な条件をしっかりとチェックしておきましょう。
- 再委託をどこまで許可するのか
- 再委託先でトラブルが発生した場合の対応はどうするのか
4.納品・検査について
Webサイト制作における納品の条件は案件や状況によって異なるため「どの状態になれば完成品が納品されたといえるのか」という条件をチェックしておくことが大切です。
例えば
- 特定のページに関しては納品後に発注者が制作する
- 仮環境において動作が確認できたことで納品とする
といった条件が記載されている場合もあります。
発注者側の意図に沿わない条件になっている、疑問点があるなどの場合は、必ず契約前に確認しておきましょう。
また『納品サイトが発注者側にとって納得できるものかチェックすること』を検収と言います。
検収の期日も要注意です。
例えば「納品後1日以内に連絡がなければ検収完了とする」のように、実現がむずかしい期日になっていないか、発注者側に都合のいい条件になっていないかをチェックしましょう。
5.納品後の不具合について
Webサイト納品後に不具合が発見された場合、修正や弁償をする制作側の責任のことを「瑕疵(かし)担保責任」といいます。
不具合はすぐに見つかるものばかりではなく、納品後数ヵ月してようやく見つかるものもあるでしょう。
契約書において
- 不具合の条件
- 不具合が発見されたときの対応
- 納品後対応してもらえる期間
についてチェックしておくことをおすすめします。
6.著作権について
Webサイトの著作権について「依頼者のもの」または「納品後に依頼者に渡す」といった内容になっているかチェックしましょう。
例えば「Webサイトの著作権はすべて制作会社のものである」と契約書で明記されてしまっていると納品されたサイトを勝手に修正・変更できず、データももらえないといったトラブルになる可能性があります。
また制作会社によっては
- チラシや広告へのデザイン利用不可
- サイトをコピーして他サイトでの利用不可
- カメラマンが撮影した写真はサイト以外での流用は一切不可
といった条件をつけていることがあります。
変更してほしい点があれば、契約前に制作会社に相談してみましょう。
7.支払い時期について
制作会社によって支払いの条件は異なります。
具体的には
- 前金の入金が確認できてから制作がスタートする
- 納品後に一括で支払う
- 作業中を含めて毎月費用が発生する
- 全額一括で制作前に支払う
など。
「月々の支払いを忘れていたために開発が止まってしまった」
「前金の入金を忘れていて、制作開始が遅れた」
といったことにならないように、支払い条件をチェックしておきましょう。
支払い期日も要注意です。
もし「納品後1日以内に全額を入金すること」と短すぎる期日を定められている場合、うっかり期日をすぎてしまい、損害金が発生する可能性が上がります。
実現不可能な日数が記載されている場合は、契約前に制作会社に変更を依頼してみましょう。
8.損害賠償責任について
- 制作会社が制作したWebサイトによって発注者に損害が発生した
- 制作会社が契約した内容を行ってくれない
このような場合、発注者は制作会社に損害賠償を請求できます。
契約書では、損害賠償の金額について「制作費用全額を上限とする」といった条件や損害の内容について記載されているでしょう。
例えば上限金額が明らかに発注者の不利になっていないか、チェックしておくことをおすすめします。
9.支払いが遅れたときの損害金について
制作会社は費用の未払いを防ぐために「支払いが期日より遅れた場合は損害金を請求します」といった「遅延損害金」の条件を定めています。
支払いの約束を守らなかったペナルティとして、遅れた日数ごとに増えていく罰金のようなものです。
チェックしたいポイントは損害金の利率です。
支払い金額に対して一定の割合を損害金として計算されるため、契約前にチェックしておきましょう。
明らかにおかしな「年利率100%」といった利率が記載されている場合、法律の専門家に相談することをおすすめします。
契約書をしっかりチェックして、後悔のないWebサイト制作を
契約書の内容を確認して変更したい点がある場合、必ず契約前に変更の依頼をしましょう。
「こんなはずじゃなかった!」というトラブルを防ぐためにも、わからない点は質問して、制作会社に説明してもらうことをおすすめします。
必要なら法律の専門家に相談してみましょう。
契約の際には、制作中のことはもちろん納品後の管理までをイメージして、気持ちよくWeb制作を依頼しましょう。